19になった

ドキュメンタリー・アンド・モキュメンタリーブログ

空洞です

夢だった。起きたらそこには何もなくて、今まで体験したことが全て夢だったと気づくには少し時間がかかった。幼稚園から小学校、中学生でいじめられて、高校になってセックスをして、退屈な大学生活を過ごしてた時、トラックが右からブレーキをかけることなく進んできて、僕の身体を粉々にぶっ飛ばした。それが夢だった。僕は死んでしまったのだと思った。ああここは天国かはたまた地獄か、それともそのどちらかに行くための中継所か何かなのか。形容できない色をして、形容できない形で、形容できない感触の、その一部屋に僕はいた。だけど気づいた、あれは夢だったことに。どうやら僕は異次元に来たようだった。確信はなかったが、身体がそれを覚えているような、それはまるで言語のようなものだった。僕はこの世界で20年分の夢を見た。それは、だけでもたった一夜の出来事で、僕は何も変わらずにまた生活をするのだ。

夢だった。起きたら僕は自分の部屋にいた。幼稚園から小学校、中学までは順調だったのに、高校は中退、そこから現場仕事でなんとか生きてきた。愛する人に会って、結婚して子供もできた。仕事以外は全てが愛しい生活だった。だけど歯車は音を立てずに狂い出して、それに気づかなかった僕は愛していたものを全て手放さなくてはならなくなって、生きている意味なんて消えてしまって、ビルから地面に飛び込んだ。僕の身体は強烈な音とともに弾けて死んだ。でもそれは夢だった。起きたらそこは天国か地獄かはたまた中継所かと思ったが違った。普通の僕の部屋だった。僕は37年間生きてきたはずだったけど、それは一夜の夢にしかすぎなかった。僕はまたおかしな夢を見たと横にいる婆さんに伝えて、お茶を飲んだ。僕はベットの上で横たわっているばかりだったが婆さんが僕の介護をしてくれて、毎日は楽しかった。ありがとう婆さん。恥ずかしくていつも言えないけど今日は言ってみようと思った。婆さんは笑いながら泣いていた。

夢だった。変な夢を見たよ。僕は87のお爺ちゃんで横には誰か女の人がいたんだよ。それでね僕はその人にありがとうねって伝えたかったけど声が出なくて何も言えなかったんだ。そしたらいつのまにか眠ってたの。お母さんは僕の話を聞いて少し驚いたみたいだった。それから僕とお母さんは幼稚園の制服に着替えて鏡を見ながらお母さんは僕にお爺ちゃんの若い頃にそっくりねと言ったあと、僕に靴を履かせて自転車の後ろに乗せた。

夢だった。起きたらそこには何もなくて、今まで体験したことが全て夢だったと気づくには少し時間がかかった。