つよがりのゆくえ

バイト先に辞めるって言ったの？」

言ってない」

なんで？もう辞めるまで1ヶ月もないでしょ、」

そうだけど、まだ3ヶ月しか経ってないんだよ」

だから初めから正直に話して起きなさいって言ってたでしょ」

正直に話したら誰も雇ってくれないんだよ」

それはどうかわからないじゃない。それに嘘をつくなんてあなたは最低よ」

私だって嘘をつきたくて嘘をついたわけじゃない。生きるための嘘だってあるのよ。正直だけで生きていけるなら人生はもっと楽になってるでしょ。」

またそんなこと言って」

嘘はバレなきゃ嘘じゃないんだ。」

は？」

真実は別にあっても、その人がそれを真実だと信じてれば、嘘をつかれたって思ってなければ、その人にとって私は嘘なんてついてないことになるの」

あのね」

一度ついた嘘は死ぬまで本当にしなきゃいけないと思うの。自分からついた嘘を自分から白状するなんて、自分は気持ちが楽になるかもしれないけど、相手が悲しむだけじゃない。そんな甘えた事私はしたくないの。わかるでしょ？」

そんなの屁理屈じゃない」

あなたにとってはそうかもしれないけど、私にとっては大事な事なのよ。そういうものあなたにだってあるでしょう？」

相変わらず説得力がないのよ」

説得力なんて言葉大嫌い。結局あなたは何を言ってるかより誰が言ってるかで物事を決めるんでしょ、それじゃあそこら辺の薄い人達と変わりゃしないじゃない」

あなた何にもわかってない」

なにが？」

あなたの言葉は表面上だけなの。自分の保身のためだけの安い言葉でぬるま湯に浸かってるだけにしか見えない。あなたは深いこと言ってると思ってるかもしれないけど、あなたこそ自分の言葉に甘えてるだけじゃない。あなたには覚悟なんてないからそうなるのよ。自分の言葉に無責任なの。」

もういい。」

ほらね、自分でもわかってるんでしょ、本当は」

。。。」

そうやって逃げるのよ、だから覚悟がないって言ってるのよ。私に上から物を言おうなんざ100年早いのよ」