19になった

ドキュメンタリー・アンド・モキュメンタリーブログ

角部屋

昨日の夜に明日は少し早起きをしてシティに行こうと決意したハズの目覚ましが息を吹き返す前にそれを阻止する。毎度の決意は毎度の怠惰によって粉々に砕け散る。日が天窓から差し込み、優しさと情熱の狭間に起こされる。髪の毛はありえない角度にありえないスピードで逃避するかのように生えていて、口の中は昨夜飲んだビールの苦味が支配をしていた。身体を起こして、直感でカーキのワークパンツに白シャツを着る。黒の下着は透けるから外は暑いけど少し厚めの白の半袖の下着に着替える。外は初夏の気温そのものだった。それから、朝に鳴る鳥の音を何か別のものに変えようとSpotify を開き、使いづらさにイラつきながら折坂悠太を聞く。そういえば月9では彼が主題歌を務めてる。フジテレビも捨てたもんじゃ無いと誰から目線でものを思った。こだわりの無いヘアジェルを、こだわりを持たないとと思いながらつけ、髪を昭和時代の教育の様に躾した。

ワイヤレスもあるけど今日は有線のイヤホンを耳にして、駅までの自転車は爽やかな初夏の匂いと、しつこくてまとわりつく小さい虫の様な鬱陶しさを交互に感じた。空いていた車内の窓側に座って、混まないかをソワソワしながら観察し、あそこのビルが壊れたんだと思った。だけど、そのビルで何をして、あるいはそれが何のビルだったかすらも思い出せなかった。

電車を降りて、携帯を見れば、生意気なガールから少し遅れるとの連絡があった。遅刻は人の命を奪ってる。なんて気持ちの悪い大げさな言葉があるが、待ち人が来るまでの間に自分がしたいことを消化して、なんならラッキーぐらいのノリでいれる様な教養を身に付けたいと僕は思った。そして僕はカメラのフィルムを買いにカメラ屋まで行き、イチャイチャしてるカップルを写真に収めた。それは僕にとってやはりすごくラッキーなことだった。

遅れてきた彼女はコーラじゃなくペプシを飲んでいた。なんで?と聞くとアメリカだもんと言った。そして続けて私がオススメした村上春樹読んだ?と言い、僕がそれに頷けば、やっぱりね、だからこの文章比喩が多いんだ。と答えた。僕の耳は赤くなったけど、彼女はそれを無視して颯爽と雑踏の中に消えていった。

読んでる作家に少しばかり影響されちゃう自分は少しばかりダサいけど、でもこれあるあるだよね