そんな夜
秘密ありますか?」
それは言っちゃうと秘密にならないんじゃないですか?」
ありますか?」
もし僕がここであるって言っちゃうと、秘密があるっていう秘密が秘密じゃなくなっちゃいませんか」
ややこしいですね。それはあるっていうことですか?」
いや、あるとは言ってませんよ」
じゃあないんですか?」
ないわけじゃないです」
あるんじゃないですか」
ありますよ」
というと?」
え、どういうことですか?」
だから、その秘密ってなんですか?」
え、秘密ってあなたが知らないから秘密なんじゃないですか」
もうでも秘密があるって知っちゃったんですもん」
秘密だから聞かないでくださいよ」
え、嘘でしょ?」
え、なにがですか?」
秘密があるって言っといて言わないんですか?」
え、普通そうでしょ」
え、おかしいですよ、秘密があるって聞かれてそれを秘密にしとくには秘密なんかないって言わないといけないでしょ」
なんでですか?」
え、じゃあ逆に聞きますけど、秘密があるって言ったらその内容を聞かれるって想像できませんでした?」
それは」
できますよね。そこまで鈍感じゃないでしょ」
まあそこまでではないですね。でも花火大会に誘われたけど手すら握らないぐらいには鈍感ですよ」
話を逸らさないでください」
失敗しました」
聞かれたくないのになんで秘密があるなんて言ったんですか?」
だってなにも秘密がない人ってなんかつまらない感じするじゃないですか」
つまらない人に思われたくなかったんですか?」
ほんと人を辱しめるのが得意ですよね。あなた」
でもなんだか嬉しそうですよ」
そういうところですよ」
それで、どれぐらいの秘密なんですか?」
刻んで言いやすくしようとするのやめてください」
チッ。全然鈍感じゃないじゃないですか」
最近あなたといることが多いので鍛えられました。」
じゃあその報酬に教えてください」
ダメです。」
なんでですか」
そんなこと言ってるあなたに秘密はあるんですか」
ないです」
それはつまりあるってことですね」
どちらでもないって言っておきますね」
うわ、臆病ですね」
挑発には乗りませんよ」
そうですか。それは残念です」
晩御飯、どうしますか」
中華食べたいですね。」
いいですね」