えりあし
ねえ、なんであの人がいいの?」
だって、あの人だから」
そうか、本物だな」
私aikoなんて聞かないのよ、」
どうしたのいきなり」
”少し背の高い“ぐらいしか知らないの、その曲名が何かすらわからない」
君は知らない事をそんなに自慢気に話すのかい」
別に自慢気になってないよ、それにそんな事を私は言いたいんじゃないの」
続きを話して」
ある日、家に帰ったら彼氏がaikoを聴きながらタバコ吸ってたんだよ」
それで?」
それでね、今考えれば当たり前なんだけど、私はこの人にも過去があるんだって思ったの、そしたら急に胸が痛くなってさ、」
過去に嫉妬?」
嫉妬なんかしないのよ、過去があるから今があるなんて当たり前のことじゃない、でも切なくなっちゃったの、彼の全てを知りたいっていう最低な言葉が頭に浮かんだのよ」
自分の哲学とか、思考と真逆の感情が浮かんだってこと?」
うん。」
それが辛かったの?」
ううん、愛しかったの。結局私たちの行動とか思考って、本能を正論にするための理由づけでしかないのよ、彼はそんな私の理由を、どうしようもないものを遥かに超えていったの」
そんなのできるの彼しかいないってこと?」
そう」