19になった

ドキュメンタリー・アンド・モキュメンタリーブログ

深呼吸

ライターに手をかけてタバコに火をつける。タバコの火は落ちていく夕日より弱々しかった。マンションの5階から見下ろす街には、電車が走っていて、その中を僕は君がいないかなと探す。見えるわけはないし、いるわけもないのに。でも僕にはなんとなく君を見つけれる自信はあるんだ。

タバコを始めたのは2年前で、タバコ嫌いだった彼女と別れてから吸い始めた。なんとなく始めたわけじゃなくて、昔の片思いの人になんとなく近づいてみたくて、彼女が吸ってたタバコを始めた。「あんたはタバコを吸わない様な女の子と付き合いなよ」僕がいつも彼女に言われてた言葉だ。その言葉を聞くたびに僕が傷ついていたことを彼女は知らない。

彼女とは学校帰りに色々な話をした。愚痴から始まって、将来の不安、男と女のこと、セックスとかも。年下の僕に見向きもしないから僕は気がラクだったのかもしれない。

二年早く卒業した彼女とは連絡を取らなくなって、いつしか僕も同い年の女の子を好きになって彼女のことなんて忘れかけてたけど、タバコの匂いが彼女のことを思い出させた。

SNSで彼女が結婚して、子供もできたことを知った。嬉しかった。けど、青春の思い出が思い出として完成したことが僕の心臓に突き刺さったりもした。

タバコが吸い終わる時、風がなる音がして、見上げた空には一等星が顔をだしていた。

 

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