19になった

ドキュメンタリー・アンド・モキュメンタリーブログ

Her Favorite Song

空から雨が降る。お気に入りの服を着てきたのに、湿気で髪の毛も爆発するし、最近いつもこの調子だ。というか生まれてからずっとついてない。ギックリ腰(まだ十代なのに!)と花粉と口内炎が同時に襲ってきたり、修学旅行の日に高熱を出したり、スカート捲りで遊んでたら好きだった男の子にパンツを見られたり。はあ、インスタグラムとかYouTubeとかで見る可愛い子達は多分今までそんな思いをしたことがないんだろうな。いつも健康で、学校行事は率先して楽しんで、好きになった男の子から告白されたり、ドキドキしながらバレンタインチョコとか渡したんだろうな。そういう甘酸っぱい青春とか私には皆無だった。友達はいっぱいいたけど、でも胸を張って親友って呼べる友達はいないし、私は誰の一番の友達ではなかった。家族の中でも弟が出来てからは、みんなの視線は弟に向けられて、私はずっと二番手三番手だった。

大学からはそんな自分を変えたくて、洋服とかメイクを勉強した。鏡を見てなんだか可愛くなった自分に自信が持てて、サークルの新歓とかに行ってみた。そしたらいろんな子がいっぱい話しかけてきてくれて、そこにはカッコいい男の子もいた。こんなに見た目を変えるだけでこんなにも必要とされるんだと感じた。もっと最初からこうしとけばよかったと思った。

2ヶ月くらいして、3年の憧れてたサークルの先輩からデートに誘われて、浮かれ調子だった私はご飯を食べながらその先輩とキスした。同い年の子ともこんなことしたけど、先輩の方が上手かった。そんなこと考えて優越感に浸った。そのまま目が覚めたらホテルにいた。そんな日がどれくらい続いただろう、多分三週間ぐらい過ぎた日にこの関係がなんだかモヤモヤして、勇気を出して聞いてみた。

「これってどういう関係なの」

彼は友達以上恋人未満と答えた。

納得がいかなかった。恋人になることはあるの?って聞いたけど、その問いに対する返事も「分からない」だった。終いには、「お前はどうしたいんだよ」って聞かれて、「どうでもいい」って答えた。どうでもよくないのに、そうやって答えた。怖かった。NOと言われるのが怖かった。結局私は誰の一番にもなれないまま、都合良く人生をあしらわれるんだ。そんな安っぽい女になるはずじゃなかったのに。

 

https://itunes.apple.com/jp/album/her-favorite-song/1358684292?i=1358684309

 

 

Autumn Leaves

こっちにおいでよベイビー」

私部屋の鍵を返しにきただけなの。私もう行くね」

そんなこと言わないで。僕まだ信じれないんだ。僕と君は生まれた時からずっと一緒だったじゃないか。君が僕の人生からいなくなって、僕は生きていける気がしないんだ。」

大丈夫よ。時は止まることなく流れ続けるわ。あなたもいずれ私の声を忘れて、いずれこの別れすら美しい思い出になるのよ」

僕はもう君から逃げ出せないんだ。君から逃げようとどこに行ったって、僕の初めての殆どが君と一緒だったんだ。だからどこに行っても君がいて、君が僕の中で思い出になるなんてこと、地球が静止するぐらい不可能なことなんだよ。」

大丈夫。私から逃げる必要なんてないわ。あなたの中で私を生かせばいい。私はここからいなくなるけど、あなたは私を永遠に抱くことができるのよ。」

でも僕の中の君はもう変わることがなくなるじゃないか。」

それをあなたは望んだじゃないの。変わることも変わらないことにもあなたは恐れているの。」

聞きたくない。ねえお願いだから。こっちにきてよ。」

もうだめよ。私もう行かないといけないの。何もしなくても流れ動く時間にあなたといれてよかったわ。あなたはすぐ他の子を見つけるかもしれないけど、あなたも私も愛していたことは変わらないよ。」

僕の人生は君が全てだったよ。ありがとう。ありがとう。さようなら。」

 

うん。彼女はもう帰ったよ。1ヶ月も待たせてごめんね。」

じゃあ今から家行くね。」

はーい。待ってる。」

 

https://itunes.apple.com/jp/album/autumn-leaves/1071047306?i=1071047651

That’s Me

じゃがりこは最高。携帯を捨て、情報を遮断しろ。現代を支える技術は暇人の賜物。比較して非難するのはナンセンス。差別?偏見?こちとら西暦2019年だぞ、ブルーハーツからやり直せ。友達は数より質、恋愛は質より数。自分に余裕がない時は他人のせいにしていい、でもいつまでも逃げるな。なるべく遠くに行く。サボるのは学生の特権、躊躇うと宇多田と椎名にキレられるぞ。努力を努力だと認識すればそれは偽物。名言は何を言ってるかじゃなくて誰が言ってるか、だからあてにならない。空気ばっか読んでると酸欠になるぞ、PSGを聞け。覚悟と責任を若いなりに認識しろ。冬のアイスは美味しい。好きな人と過ごせる時間は大事、出来るだけ引き延ばせ。失敗しかしないぐらいの勢いが大事、若いから。好きなものは好きな分だけ食べろ、若いから。細く痩せた身体より、太ってても素直な人でいろ。大切な人を大切なだけ愛せ。何事も尊敬が大事。否定と、尊敬したうえでの否定は質が違う。友達がいないならひたすらインプットをしろ、深夜ラジオはいつでもお前の友達になってくれる。群れるな、孤高であれ。自分のスタイルとは何かを日々考えろ。日常を冒険しろ。意味のないものはないが、意味を見出せない人間は多い。風鈴を買え。こだわりを持て。自分の意見がないなら、自分の意見がないという意見を持て、振り切れ。異見も聞け、でもそれを受け入れるか入れないかの判断力を身に付けろ。太陽の塔を見に行け。何かを批判する時は、その何かに命を救われた人がいることを忘れるな。自殺志願者には自殺という選択肢を残させておけ、それかスイスに自殺幇助組織があるということを伝えろ。本を読め。音楽を聴け。映画を見ろ。自分の好き嫌いを自分で知っとけ。誰になにを言われても自分を殺すな。そうして生きれば、そうして生きれるようになる。夢ではなく目標を、努力ではなく夢中を追い求めろ。振り返るな、想像もするな、今を見つめろ。消極性より積極性で動け。権力者に逆らえ。憎しみをエネルギーに変えろ。窓から足を放り投げて食べる日曜朝のマスカットは最高。自分の機嫌どりは自分でしろ。ネクターは最強。女の子には優しく。男の子にも優しく。優しさと弱さは違うということを理解しろ。散歩する。携帯に現実逃避しない、携帯より現実の素晴らしさに気づけ。わからなければわからないと言え。大声を出すな、俺はここにいる、聞こえる。突発的に人に会え。突発的に旅に出ろ。初期衝動を忘れるな。壊す常識すらないことに気づけ。ありがとう、ごめんなさいは忘れるな。孤独を抱えろ、そこからは逃げるな。美味しいたこ焼き屋さんを見つけろ。言葉が一番に自分を表すことを覚えておけ。丁寧に生きろ。寂しいなら俺に連絡しろ。ykzots@gmail.com

 

‎S.L.A.C.K.の"That's Me"をApple Musicで

胎動

退屈を最高にしてよハローボーイ

それはない春じゃないいいじゃない

木がモンスターに見えて春

ドアを閉めて桜が散る愛人

パインアメガールショートゴールド

忘れた土曜日の痛み2回目の春

タンポポの種子が飛び流れ星

チューリップとあなたを見比べて目眩

キャラメルの甘い匂いで飛ぶ

曇り空風スカートスニーカーアディダス

YouTubeから流れる無意味な時間

春は柑橘系オレンジスイート

去る人来る人変えない現在地

開く扉を閉めて声を聞く

ひとりごとふたりごとまたひとりごと

私たちのびたラーメンみたい

私たちお風呂に浸かりすぎた指かも

苦いキットカット、味じゃなく

ハサミが切れないもの

寂しい気持ちでハッピーになる

詩人なんて金にならない

ぶれる芯すらないだろう

ご飯を食べるために生きる

どうりでパンクが日本に根付かないわけだ

Netflix and chill で婚約する2人

カーナビを無視して進む海岸沿い

シナモンとちょっとスパイシーな女

愛なんてわざわざ言葉にしないで

好きが幸せになる訳じゃないのよ

緊張感を備長炭で燃やす

痛い正論気持ちいい嘘

主役になれない女

主役になりたい男

君とセックスする夢を見た。君はとても感じてた

ツイッターはダサいからダサい呟きをする

インスタはやる価値なんてない

フェイスブックは死んだ

タンブラーは不便だから最高

SNSは全世界共通語じゃない

君はミーハーな上におしゃべり

肉じゃがでいえば玉ねぎみたいな女が最高

トンカツ定食はゴマドレが主役

バーベキューにランデブー

幽霊見たらしくみたらし食う

 

‎リブロの"胎動"をApple Musicで

I WISH

もしさ、タイムマシーンがあったとしたらどうする?」

うーん、やっぱり、前の彼女と別れへんように頑張るために戻る」

どうせもって1ヶ月やって」

いや、そんなことない、今ならあの子の気持ち絶対わかる気がする」

indigo la Endみたいなこと言うやん」

ああ、そういえばあの子はゲス極派やった」

ほらな、合わへんねんって、やめとけって」

いや、でもな、違う価値観で面白いやんか」

あんな、顔がタイプで性格が合わん場合、性格の不一致には目を瞑るだけや、いつか耐えられへんようになるねん、でもな、顔はタイプじゃないけど性格が合う場合、なんとなく、アレ?可愛いじゃねえかってなってくるねん。わかるか?」

いや、分からん、俺アンドロイドよりiPhoneやもん、みんなもそうやん。アイドルとかが人気な理由は?あんな音楽ライムスターがやってても人気になるか?」

ふざけんなよ、宇多丸Mummy-Dも最高やぞ」

おい、Jinさんもいれろ。あのな、俺が言いたいのはライムスターのことじゃないねん」

でも俺は髪の毛ロング派やったけど、怒りの演技見てから広瀬すず大好きになったで」

お前が広瀬すずを好きなのは演技の問題か?あんなん顔面凶器やろ、いい意味で。あと演技で評価って評論家気取りのクソ野郎か?」

お前が内面で誰にも恋したことないからそんなん言うんや」

わかった、じゃあたまたま聴こえてきたラジオが面白くて、どんな顔かなって検索してなんとなく後悔したことないか?」

ない」

正直に言え」

ある」

ほらな!」

でも、それとこれとはまた別や、お前はさっきから恋愛という状況下で話を進めてないねん。恋愛っていうのは制御不能やろ?お前が好きな顔があって、その顔通りのあの子を好きになるのはお前の意識下で行われるものであって、あくまで義務的な恋なんや。ほらよく“心奪われる”っていうやろ、お前は心をその子に預けてるだけに過ぎへんねん、それは恋とは言わん」

うーん」

セフレと本命の違いは何かわかるか。男なんかセックスできたらそれでいいっていう生き物やろ。じゃあなんでわざわざ恋人にする必要があるんや?」

それは、、」

お前がもし顔で好きになったらそれはせいぜいセックスだけや。一晩で終わるやろ。それはお前の欲求を満たすためにその子を道具として使ってるに過ぎへんねん。その子との関係に責任を負う覚悟があれば、付き合うっていう選択肢を選ぶはずや。大事なのは相手に対する責任を明白にするかせえへんかの行為や、そしてそれをする覚悟なんや。見せかけの恋にはそんなもんできん。考えもつかんねん。でもな、男には率先して責任を持とうとする時があるねん。それはどういう時や?見た目なんていう浅はかなものじゃなくて、もっと深い所で彼女を好きになった時やろ」

でも見た目は中身を象徴せんか?」

ちょっとちゃう。中身が外見を作り出すことはあっても、外見が内面を象徴するのは難しいねん。つまり、外見を第一に考えた場合、外見≠中身になる。けど、内面を主体に考えたら、内面=外見になるんや。やからな、内面を好きになるってことは外見も好きになるってことになるんや。」

うーん、まあでも俺は広瀬すずが目の前にいたらセフレより彼女にしたい」

トカゲの手足切断が趣味の広瀬すずか、人助けが趣味の里田まいやったらどっちがいい?」

サイコパス広瀬やんか」

そうやで」

それは里田まいになるな」

やろ?だから大事なのは顔より性格ってことになるな。」

完全に極論で無理やり押し切ったよな。ていうかこれなんの話やった?」

タイムスリップするならって話」

お前ならいつに行くん?」

同じクラスでさ、アイドルになるからって東京行った子おったやろ?」

うん」

その子とセックスするために頑張る」

お前も結局顔やないか」

なんか、漫才みたいやな」

もうやめさせてもらうわ」

ハハハハハハ」

いや、ほんまに。俺この後バイトやから」

あ、なるほど、、じゃあな」

 

‎ORIGINAL LOVEの"I WISH"をApple Musicで

PONPONPON

もしタイムマシンがあったらどうする?」

うーん、どうしようかな。どうするん?」

私は生まれた時からやり直したいから19年前に戻りたい。」

何をやり戻すの?」

なりたい自分になりたいの。」

なりたい自分って?」

うーん、私もあんたみたいに愛想よくなって皆んなに好かれたい」

私になるためにタイムマシン使うの?」

うん。だって正直めっちゃ羨ましい。ずっと皆んなに囲まれてたり、友達おらんって悩んだことないやろ?」

うーん。ないかな。でもな私もゆいちゃんのこと羨ましいで。」

なんで?自由に見えるん?」

そう。私なんか1人になりたくても1人になられへんし。それに人の空気読むのなんかめっちゃ疲れるし」

あんたも気をつかうん?」

そりゃ気つかうよ。でも別に嘘ついてるわけじゃないで。なんやこいつの話全然面白くないわって思っても何だかんだ色々質問したり愛想笑いとかするの疲れるんよ」

なるほど。あんたも努力してるんやな。」

そうやで。でもゆいちゃんは自分の気持ちにいつも正直やんか。誰にも媚びてないっていうか、自分貫いてるって感じがする。」

そう言ったらなんかカッコよく聞こえるけど、私コミュニケーション下手なだけやねん。他人に興味わかへんし。気も使われへんし。別に1人が嫌なわけじゃないで?でもあんたとか見てたらたまに寂しくなったりするねん。みんなでワイワイとかもたまにしてみたいし。」

たまにならいいよな。毎日そんなんやからしんどいよ。それに今日は、って断ったらそのあとどうなるか分からんし」

ほんまに?めっちゃ仲よさそうやのに、そんな綱渡りなん?」

綱渡りって(笑)」

七尾旅人みたいやな」

え、なにそれ」

りんご音楽祭 サーカスナイトで調べたらめっちゃカッコいい動画見れるで」

今度調べてみる。ほら、私が知らんこといっぱい知ってるし。羨ましいよ。」

なんでなんやろうな」

なにが?」

お互いがお互いになりたがってる。私からしたらあんたは魅力的やし、あんたからしたら私は魅力的なんやろ?」

うん。」

結局さ、自分が自分のことどう思ってようがさ、誰かにとっての憧れの対象なんやろ?じゃあもっと自分に自信持つべきじゃない?」

たしかにそうかも。なんか自分が自分を認めるのにビビってるんかもせえへん」

そうやでな。自分のこと嫌な目で見るからやでな。結局見方変えてみたら長所も短所もあてにならんよな」

うん。隣の芝は青いって、ほんま考えた人すごいと思うわ。」

うん。結局人間ないものねだりなんやな。なんか自信持てた。」

私も。」

じゃあどうする?タイムマシンあったら使う?」

私はでもブルーハーツのライブに行きたい」

 

‎きゃりーぱみゅぱみゅの"PONPONPON"をApple Musicで

早朝の戦士

卒業式、静謐な体育館に私の名前が呼ばれる。後ろの在校生席からはヒソヒソ声が聞こえる。もうこの状況には飽きた。

だから人前に出るのはあまり好きじゃない。別に私は自分の顔に特別な感情は抱かない。でも周りは違う。入学式の日もクラス替えの日も可愛いって言われながら何人かの女子に囲まれる。気づけば周りにいつも誰かがいる。一人でいるのはなんだか恥ずかしいから、そうして誰かがいると安心する。みんなで学校終わりには小洒落たカフェに行く。別にコーヒーが飲みたいわけでも、お喋りがしたいわけでもなくて、なんとなく仲間ハズレになるのが怖いからみんなについて行く。イチゴのケーキか、ティラミスかで迷って、30円安いイチゴのケーキを注文する。注文が届いて、お母さんの顔が浮かんで、申し訳なくなりながら食べるケーキはあまり美味しくない。イチゴのケーキを崩しながら、携帯と熱心ににらめっこする友達を眺めながら、この人たちは私がこの見た目ではなくても、こうして一緒にいるのかどうかを考える。そんなことを考えると、答えは決まってノーになる。するとちょっと苦しくなってため息が出そうになる、ださないけど。右の子が話しかけてくる、でもそれはインスタのストーリーを気になってる子が見てくれたとかそういうどうでもいいことで、私が聞いてほしい話をし始めると、ふーんとだけ言ってまた自分の話をしだす。そうして時間が過ぎて、家に帰る。そんな毎日だった。特に誰かに理解されてたわけでも、誤解されるわけでもなく、ただ私の存在だけで環境は成り立った。それはつまり、別に私は私じゃなくても良かったということを意味した。

 

式が終わると周りの女の子達は泣いてた。私も悲しいフリをした。卒業式の写真をインスタグラムにあげたりした。イイネの数が私が一番多いことがまた私を落胆させた。

 

‎5lack & Olive Oilの"早朝の戦士"をApple Musicで